三浦半島最南端、リビエラシーボニアマリーナを取り巻く小網代の森は、
森林、湿地、干潟から海までが連続して残され、アカテガニなどの希少生物が多様な生態系を形成する場所です。
リビエラでは、神奈川県や三浦市をはじめ、
公益財団法人かながわトラストみどり財団、NPO法人小網代野外活動調整会議と協力し、
この関東随一の豊かな自然環境と動植物の保全に努めています。

リビエラの取り組み

ひとつの流域が自然のまま、まるごと残されている小網代の森。
その広さは約70ha、東京ドーム15個分にも及びます。
リビエラでは、NPO法人小網代野外活動調整会議の指導のもと、原生林や干潟の保全活動を定期的に実施。
自然の生態系を壊すことなく源流から河口まで川水を流す「河川環境の整備」をはじめ、
湿地回復作業に伴う「ササの伐採や外来植物の防除」などに力を注いでいます。

アカテガニが棲む森

カニとしては珍しく、森に棲むアカテガニ。夏の満月、大潮の夜になると、母ガニたちは一斉に海岸へ押し寄せてお腹の幼生を海に放ちます。美しい森と海が共存する土地でなければ生息できないアカテガニの姿は、小網代の森で多く観察することができます。

ホタルが帰ってきた川

幼虫期間を水中で過ごすホタルは、一年を通して清らかな川がなければ生きられません。河川や湿地の保全活動により、小網代の森でもホタルの数が増えてきました。宵闇に無数の光が舞う森は、とても幻想的。毎年5月末ごろから開かれるホタル観察会も人気です。

◆PROFESSIONAL VOICE

岸 由二 氏

慶應義塾大学名誉教授

「小網代の森」は約70ha、東京ドーム15個分の広さ。“流域丸ごとの生態系を残せる関東唯一の場所”であり、2000種以上の生物が確認されています。この貴重な環境を守っていくためには、人の手でこまめに手入れする事が重要です。木々が生い茂りすぎないよう間伐し、植物の多様性を保つことで多様な昆虫が生息する。また、川の流れを調整することで湿地が広がり、様々な水生昆虫が増え、それらを餌とする鳥が集まる。そんな風に人が自然に関わることで、適切な自然環境が保たれ、生物多様性が維持される。リビエラはNPOとも協働し、スタッフによる定期的な保全活動も実施されています。実際に小網代では、野生の蛍が戻ってきました。人と自然が共存できるよう、これからも手を携えて歩んでいければと願っています。

岸 由二氏/小網代野外活動調整会議代表理事 慶應義塾大学名誉教授。専門は進化生態学。小網代や鶴見川流域で流域思考の都市再生にかかわる理論・実践をすすめる。『自然へのまなざし』、『流域地図の作り方』など多くの著書も執筆。