海を愛する人と
美しく豊かな海を守る
2023年 2月 発行
美しい海には人が集まる
広域な「海からの地域活性化」
美しく豊かな海を守り、“人と人”をつなぐ海洋環境イベント「第3回LOVE OCEAN」を昨年11~12月に開催。有志社員が毎月継続する「リビエラビーチクリーン」の特別版として環境意識の高い湘南カルチャーを発信しよう!と、2021年に鎌倉・逗子・葉山の3市町で開催したのが始まりです。第2回は三浦・藤沢・横須賀を加えた6市町へ拡大、そして今回、第3回は三浦から湯河原まで神奈川県沿岸全域13市町まで拡大するとともに、内容も充実したイベントに成長。各市町の首長・地域住民・団体・漁業者・マリンスポーツ愛好家・釣り人・観光客など多岐にわたる方々が参加し、「海を愛する人のコミュニティ」の輪が広がっています。
三浦をスタートし、ゴールの湯河原まで100キロ以上に及ぶ相模湾沿岸を西へ西へとキャラバンしていくと、ゴミの種類や量、砂の形状や量が各海岸で全く異なります。それは、海岸の形や川の有無、潮の流れなどの「地理的要因」や日々変わる風・波などの「気象要因」に加え、人々の関心の高さやアクションなどの「人的要因」に起因することを実感します。三浦から茅ヶ崎の東側はマイクロプラスチックが多く、平塚から湯河原の西側は生活ごみや発泡スチロールなどが収集されました。
海にも陸にも境目はなく繋がっているからこそ、単体の場所ではなく相模湾全体という広いエリアでの活動の必要性を感じています。多くの「海を愛する人」と知恵を出し合い、手を携えて協力し、この美しく豊かな海を守っていきたいと願い活動しています。
ビーチクリーンからの展開
JAMSTEC ( 海洋研究開発機構) の海ゴミ研究への貢献の他、ビーチクリーンのために海に来た方が町へ回遊し地域経済活性化につながる試みとして、鎌倉と小田原では「まちのコイン」を付与しました。
環境×防災
海からの防災「浜から浜へ」
11月19~26日に開催したLOVE OCEANの「リビエラ湘南ビーチクリーン」に合わせて、葉山~逗子~鎌倉~藤沢では海上防災訓練を実施しました。これは、喫水のある船では港にしか着岸できませんが、リブボートや水上バイクを活用すれば『海から浜に上陸し、物資や人の輸配送ができる』ことを確認し合う「浜から浜」をつないだ日本初の海上物資輸送訓練です。相模湾と山に囲まれたこの美しい地元は、度々がけ崩れ等の被害に見舞われます。地球温暖化による気候変動や異常気象など、環境に起因する甚大な自然災害が頻発する中、長期間停電や道路等崩壊・陸路遮断による孤立地域の発生などさまざまな被害が想定され、防災が何より重要です。海を生業にしているリビエラでは、「環境×防災」として海路は貴重なルートと考えています。
災害海上防災訓練「海から浜」
海上保安部と協働
葉山と逗子での訓練では、リビエラが考える「LOVEOCEAN」のコンセプトに賛同くださった横須賀海上保安部と協働し、支援物資の海上輸送訓練を実施しました。海上の巡視艇「きぬがさ」→リビエラのリブボート→水上バイク→浜へ。「3・11では、港の機能が損なわれ、船での出入りができなくなった。」「“港だけではなく浜を使う”“浜と浜を海上で繋ぐ”ことは今までにない発想!」と横須賀海上保安部長からも好評価。災害時に、海を活用して支援し合える体制づくりのための第一歩を踏み出せました。環境問題への課題解決となるビーチクリーン参加者と共に、海上防災訓練を繋げられたことは、大変意義のある取り組みでした。
海上保安庁 第三管区海上保安本部
横須賀海上保安部長 横須賀港長
池田 聡 氏
リビエラが保有する船やリブボートを使用し、陸路に代わる「海路」を確保することで、巡視艇だけでは対応が難しい浜にも海上から人や物資を輸配送できます。この訓練を実施することは、海を守る海上保安庁としても地域の安全に寄与する素晴らしい取り組みで、地域防災に非常に役立ち、かつ、官民が連携して行うもので、我々としても大変ありがたいものです。
災害時の支援協力包括協定
逗子市と締結
シーズン中、小さなものを含めると毎週のように海のレスキュー要請に対応する中で、リビエラでは非常時への備えを常に意識しています。近隣保育園や各団体など地元との避難訓練を年4回以上実施。また、マリブホテルではEVを蓄電池としてロビーに放電させる、非常時にも配慮したシステムを導入しています。そしてこの度、2022年10月19日、災害時の包括協定を逗子市と締結いたしました。
シンポジウムで知る
海から考える未来
「第3回LOVE OCEAN」の締めくくりの12月10日、「海のシンポジウム」を開催。このシンポジウムでは、「美しい海には人が集まる」をコンセプトに、環境問題から水産や観光・スポーツ・レジャー・海の文化・金融まで、海に想いを馳せ、「海から考える未来」をテーマに肩ひじ張らずに語り合っています。
そして、登壇者も毎回多彩な顔触れですが、今回は神奈川県知事の黒岩祐治氏や海洋冒険家の白石康次郎氏をはじめ、オリンピアの小谷美可子さんが飛び入り登壇されるなど、海に馴染みのある有識者にご登壇いただきました。
海の実情を肌で感じている漁師さんから見た水温上昇による水産業・相模湾の現状や、磯焼けを解決するための藻場再生の急務について語られました。その方策や、リビエラ逗子マリーナ内で始まった日本初となるマリーナ内での藻場再生プロジェクトについては研究者らの目線からも発信。日本の海の文化・ヨット文化は長年の課題ですが、セーラーから相模湾がいかに素晴らしいのかを聞き、海のロマンを感じる時間になりました。「金融から見た海」という新たな切り口も加わり、充実したシンポジウムでした。
さまざまな角度から互いの考えを知り、新たな気付きを得られるこのシンポジウムは大変有意義なもので、登壇者や参加者からは、知恵を出し合い仲間になって協力し合うために、より幅広い方々に多く参加してほしいと感想が寄せられていました。そのためには、海に境目がないように、性別を超え、年齢も立場も超えたシームレス(継ぎ目がない・途切れない)な方々との幅広いコミュニティ、プラットフォームを作り、皆で進めていきたいと切に願っています。
次回「第4回LOVE OCEAN」は5〜6月。ヨットレースや海岸線を楽しむサイクリング、ランニングも企画しています。海を愛するみなさまと一緒に、美しく豊かな海を守り次世代に残していけるよう、ご支援をお待ちしています。
マイクロプラスチック探しを楽しむ親子
ジュニアヨットクラブもみんなで参加
サーファーも海からあがってビーチクリーン
ご挨拶
黒岩 祐治氏(神奈川県知事)
漁師が語る相模湾の現状
高橋 征人氏(神奈川県漁業協同組合連合会 代表理事 会長)、大竹 清司氏(小坪漁業協同組合 代表理事 組合長)、滝口 直之氏(神奈川県水産技術センター 所長)
藻場再生「湘南ブルーカーボン」プロジェクト
木下 淳司氏(神奈川県水産技術センター 栽培推進部 主任研究員)、今井 利為氏(公益財団法人 神奈川県栽培漁業協会 専務理事 水産学博士)、山崎 哲雄(株式会社リビエラ/一般社団法人ブルーカーボンベルト・リビエラ研究所 理事)
セーラーが語る相模湾の魅力
稲葉 健太氏(SYLジャパン株式会社 代表取締役)
金融から見たSDGsと海
足立 敏貴氏(株式会社ユニオン証券アドバイザーズ執行役員)
ブルーカーボンからブルーエコノミーへ
渡邉 敦氏(公益財団法人 笹川平和財団 海洋政策研究所上席研究員)
世界中の海
白石 康次郎氏(海洋冒険家/DMG MORI SAILING TEAM スキッパー)
スポーツを通じた自然と生きる喜び
小谷 実可子氏(オリンピアン)
第3回 LOVE OCEAN報告/ブルーカーボンベルト構想
渡邊 華子(NPO法人リビエラ未来創りプロジェクト理事長/一般社団法人ブルーカーボンベルト・リビエラ研究所 代表理事/株式会社リビエラ東京 専務取締役)
司会
MITSUMI氏(ラジオDJ)