J.B.ホームズ、J.トーマスに競り勝ち優勝

2019年3月発行

ジェネシスオープン
タイガー・ウッズ
J.B.ホームズ
松山 英樹

仕上がりを試される
毎年2月米PGAトーナメント

米国ロサンゼルスのザ・リビエラカントリークラブ(RCC)で、USPGAツアー公式戦が、今年も開催されました。世界の俊逸が集結する大会を毎年続けられることはリビエラの誇りです。出場選手に名を連ねたのは、今大会昨年優勝者のB ・ワトソン、賞金ランキング1位のX ・ショフレ、J ・トーマス、D ・ジョンソン、P ・ミケルソン、R ・マキロイ、B ・デシャンボー、J ・ラーム、松山英樹、J ・スピース、T ・ウッズ、小平智など144名。

ギャラリーをくぎ付けにした
タイガー・ウッズ

93回目を迎える今大会で最も注目されたのが、タイガー・ウッズの出場。1992年、PGAツアー初出場を果たしたのがRCC。当時16歳だったタイガーのセンセーショナルなデビューは、リビエラにとって鮮烈な記憶。その後の活躍はご存知の通りですが、10回以上出場した大会で、未だ優勝できていないのが唯一RCC。連日多くのギャラリーを引きつけ、第2ラウンド1番で12mのイーグルを奪うなど、随所に「スーパースターの神業」を見せました。
「歴史的に有名なゴルフコースに、アマチュア、ジュニア選手として出場し、今では大会のホストとしてこの大会でプレーできることは、夢の実現なんだ」と、タイガー。

日没サスペンデッドが続く
ホームズが逆転優勝

ケンタッキー州出身で尊敬し合う間柄のJ・トーマスとの争いに、J・B・ホームズが耐えてつかんだ優勝。
2度の脳手術を乗り越えた36歳の苦労人です。
かつてない雨と風。第1ラウンドから中断、日没サスペンデッドが続きました。最終日、第3ラウンドの残りを消化した時点で、トップはJ・トーマス。4打差のホームズは最終ラウンドに希望を捨てませんでした。
強風が吹き荒れる中、70で耐え抜き、通算14アンダーとして逆転、4年ぶりの優勝を手にしました。
何といっても、パッティングのうまさが光りました。RCCのグリーンはポアナ芝を採用、精魂こめたコースのグリーンスピードは13ft。
不規則な転がりを生むことがあり、多くの選手が苦しみました。ホームズはそれまで不振だったパッティングが回復、1打リードで迎えた最終18番、15mのロングパットをカップに寄せ切りました。
日本勢は、松山が第1ラウンド76位から最終日9位でフィニッシュ。
「最後の最後に『どうにかしなきゃ』」と巻き返しは見事でした。

RCC

ドラマが生まれるコース
支えるスタッフ

トーナメントの熱き戦いを陰で支えるのが、コースメンテナンスのスタッフ。RCCでは通常40名体制でコースのメンテナンスを夜明け前の3時からスタートしますが、大会期間中は各地から選抜された一流のコースメンテスタッフが、今年も駆けつけてくれました。全米各地はもちろんのこと、欧州、カナダ、その他、2020年東京五輪ゴルフ競技の舞台となる霞ケ関CCからも勉強のために参加。RCCでメンテナンスに携わることに誇りをもって、ボランティアとして、総勢85名が支えてくれました。
指揮を執ったのは、RCCのグリーンキーパー、マット・モートン氏。全米のグリーンキーパーの頂点に立つ元オーガスタ・ナショナルGCのポール・ラッチョウ氏の一番弟子でもあります。グリーンスピードは「ガラスのグリーン」のマスターズと同じ13ft。選手にとっては「言い訳」できない難コース。「気が抜けない」「ごまかしが効かない」というタイガーや松山のコメントにあるように、ドライバーからパッティングまでの技術、コースマネジメント、すべてを要求されるコースコンディションでした。

古き良きものを
最新技術で未来に繋ぐ

これまでRCCは、改修を重ね、古き良きものを後世に伝えるためにコースを復元しています。コンセプトは「オリジナルデザインに戻す」。
2028年ロサンゼルス五輪のゴルフ競技開催コースに決定した2017年からは「Road to 2028」として、10年計画を開始。設計者ジョージ・C・トーマスJr.と共に最初にコースを手掛けた建築家ウィリアム・P・ベルが築いたハザードの姿を取り戻すため、最新技術を用いてバンカーの排水や砂の入れ替えからスタートしています。来るべき時に向けた、最高峰の舞台づくりへのこだわりは続きます。

来年は「準メジャー」へ
昇格が決定

この大会は、2020年から賞金総額も増し930万ドル(約10億3207万円)となり、他のスポンサートーナメントとは異なる出場資格などを設ける「招待試合」に昇格することが決定。「アーノルド・パーマー招待」、帝王ニクラウスがホストの「ザ・メモリアル・トーナメント」と同格の「準メジャー」になります。「僕が育った場所、キャリアのすべてが始まった場所であり、これ以上の象徴となる場所は他にない」とのタイガーのRCCに対する思いに、我々はコースメンテナンスにかける思いに身が引き締まります。
1926年に始まり、名勝負、名選手、そして伝説を生んできました。2028年ロサンゼルス五輪の会場にも決まっています。新たなRCCの歴史が刻まれます。

タイガーウッズ
リビエラカントリークラブ
リビエラカントリークラブ
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