2018年9月発行

リビエラカントリークラブ

最高峰のプロゴルフ・トーナメントツアーの一戦「ロサンゼルス・オープン」の開催地であるザ・リビエラカントリークラブ(RCC)は、ツアー本戦が行われていないときも、可能な限り〝トーナメント・コンディション〟で、プレイヤーをお迎えできるよう、コースメンテナンスに努めています。
では、RCCのメンテナンススタッフが心を砕いて維持に努める〝トーナメント・コンディション〟とは、どのような状態をいうのでしょうか。
トーナメントでは、ボールが動いている間、プレイヤーもギャラリーも、ボールの行方を、固唾を呑んで注視しています。ゲームがドラマティックな展開を示すのは、グリーンを転がるボールが、予想もつかないトリッキーな動きを見せたとき。それは自然のなせるわざです。地形、風、そして芝生の状態……つまり、ベストなトーナメント・コンディションとは、「自然のままを保つこと」。

自然のままこそ、
闘いの場にはふさわしい

ある時期、18番ティー前方すぐのフェアウェイエリアの芝生を、全面的に整えたことがありました。青々としたその芝生は、見た目にはきれいでしたが、設計者ジョージ・C・トーマスJr. が、この美しくも一筋縄ではいかないコースに与えたデザインとは、異なっていました。
緑がどれほど映えていても、トッププレイヤーたちが闘う場として機能しなければ意味がありません。
コースグリーンを、自然のままに、あえて枯れさせることで、プレイヤーに視覚的なプレッシャーを与えることも、ジョージ・トーマスの狙いの一つでしょう。立ちはだかる枯れ草の茂みは、ゴルファーを戦慄させます。それと同時に、技術に優れ、闘志にあふれるトッププレイヤーなら、何が何でも攻略したいとのモチベーションを掻き立てられることでしょう。そして、この難所をクリアしたときの喜びはいかばかりか。緑とそうでない場所のコントラストは、ドラマを呼びます。

人々のイメージと
憧れを裏切らない

RCCでのプレーに憧れる人々は、過去幾度も演じられてきた戦いのドラマをよくご存じです。記憶の中のドラマに憧れて、RCCをめざすのだとさえいえます。アマチュアプレイヤーなら、憧れが叶うチャンスは、生涯にたった一度きりかもしれません。
そうした方々の期待に応えるためには、数々のドラマが生まれたときのコースコンディションを、そのままに保ち続けることが不可欠。
しかしながら、「自然のまま」を保つことには難しさがあります。人の手が入れば、もはや自然ではありませんが、一方、人が手を入れなければ、自然は野放図に姿を変えてしまうからです。
その絶妙なバランスに、RCCのスタッフは、日々挑み続けています。

Matt Morton

Matt Morton

Riviera Country Club
Golf Course Superintendant


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