2025年 1月 発行

戦後まもない1950年、池袋に突如姿を現した料亭「白雲閣」。おもてなしの心と伝統を受け継ぎ「磨き上げ」の精神も宿し、屋号を「リビエラ東京」と改めて進化を続けた75年の歴史を、写真と共に辿る。
野心あふれる若き事業家の堀江浅蔵が上京し、池袋に立ち上げた燃料問屋「福島屋」は大きく成長しました。しかし、召集され戦地から池袋に帰還し、目の当たりにした闇市やバラック、そして、極端な食糧不足で食べ物に安堵する人々の笑顔が、彼の職業観を一変させます。いずれ「贅を尽くした宴席」が求められる時代を見越し、富士山にかかる白雲を望める料亭「白雲閣」を開業。その先見の明と行動力は、目を見張るものがありました。
開業4年後には150坪の土地を拡張し新館を増設するなど、事業は順風満帆。しかし同年12月に突如発生した大火で旧館を全焼するという悲劇に見舞われます。
深い悲しみの中でも「お客様に迷惑はかけられない」との強い信念のもと、従業員一同が奮起。無事だった新館で翌日から営業を再開し、予約でいっぱいの忘新年会シーズンも、変わらぬおもてなしでお客様を迎え続けました。

1 薪炭問屋 「福島屋」

2 新たに料亭を開業

3 新たに料亭を開業
その3年後には、再建にともない1500坪の拡大を果たし、大小32室を設け、滝と庭園を備えた絢爛豪華な大宴会場もオープン。常連客には江戸川乱歩氏をはじめとする著名な作家や評論家、大蔵大臣を歴任した小笠原三九郎氏らが名を連ねました。さらには、高松宮殿下のご来臨を賜り一躍話題に。
滝のある庭を愛でつつお風呂を浴び宴に興じるラグジュアリーな宴会スタイルは評判を呼びました。城北随一の料亭「白雲閣」のうわさは広がり、浅草や日本橋方面からも顧客が連日押し寄せ、文化人・学者・大企業の会合場所として人気を博しました。
復興の成功を支えたのは施設だけではなく、仲居たちの心配りや料理人たちの四季折々の美食など「愛あふれるおもてなし」で、確固たる基盤を築き上げました。



4 奇跡の再興から盛業へ

5 奇跡の再興から盛業へ

6 高松宮殿下ご来臨

7 高度経済成長に伴いハイクラス層の会合処としての需要が高まる

8 温かいものは温かいうちに新しい食文化の開始

9 「ワインで会席」がスタート

浅蔵の志は1994年、義息子であるリビエラグループ会長の渡邊に受け継がれ、リビエラカントリークラブの世界が認めるホスピタリティと融合。渡邊が「白雲閣」を引き継いでから早31年、大がかりなリニューアルを毎年重ねながら、宴席や結婚式、グルメなど常に時代のニーズを先取りした変化を遂げてきました。一貫して根底にあるのは「お客様に喜んでいただきたい」という一念。それは現在も未来も揺るぐことなく、リビエラのおもてなしとして連綿と受け継がれていきます。
地上3階地下1階の木造建築で、75年の長きにわたり皆様をお迎えできたのは、リビエラに宿る「磨き上げの精神」で施設を磨き続けた従業員たちの努力の賜物です。そしてこの度、料亭「白雲閣」に始まったリビエラ東京(池袋)は、75周年を節目に未来を見据えた再開発に入ります。これまでご愛顧いただいたお客様、そして支えてくれた従業員、取引先、地域の皆様など全ての方に心より感謝を申し上げます。

10 リビエラを冠に屋号を変更

11 リビエラを冠に屋号を変更


12 タイプの違うチャペルが誕生し人気を博す

13 タイプの違うチャペルが誕生し人気を博す


14 木造3階建築の顔エントランス改修

15「リビエラカフェグリーンスタイル」開業

16 リオープンで都会の杜が出現

17 「茶寮リビエラの庭」開業
“おもてなしの心” がパイオニアをつくる
料亭「白雲閣」から「リビエラ東京」 は、 集いの場を提供し続けるとともに、先駆者として日本の宴会文化を牽引してきました。それは、新しいことに挑戦したいという気持ちからではありません。すべて「どうしたらよりお客様が喜んでくださるか」「感動を届けられるか」を大切に、一つひとつ試行錯誤を重ね、“おもてなしの心”のもと、固定概念を打ち破る勇気と決断によるものでした。 その一部をご紹介します。
旧豪族御殿の移設
戦後、料亭「白雲閣」 開業に際し、敗戦から間もない日本では厳しい物資統制が敷かれ、16坪以上の新築は建築許可が下りなかった。贅を尽くした宴席こそが、 今後求められると見越した堀江浅蔵は、楼閣のような立派な建物が必要と考え、建物の移設を閃き、総檜造りの古い名主屋敷を上諏訪から移設した。
日本料理から「会席料理」 へ
高まるグルメ志向に応え、従来の先付けで提供していた宴会料理から「温かいものは温かいうちに。 冷たいものは冷たいうちに」提供する手法への転換。
新しい食文化の提案と普及
日本料理には日本酒が当たり前とされていた時代に、「ワインで会席」と銘打ち、ワインと日本料理のマリアージュイベントを開催。大人気となり、 34年のロングランイベントとして愛された。
日本初フローリングのバンケット完成
バンケット完成に伴い、円卓もいち早く導入。 円卓中央に照明が当たる仕組みを取り入れ、 それに合わせた演出や装花も提案。後のレストランウェディングブームの先駆けとなる。
カラーやテーマを取り入れたオリジナルウェディング
結婚式は「白」という固定概念を取り払い、お客様の“自分たちらしさ”を求める声に応え、日本で初めてカラークロスを取り入れた。
1929年 |
昭和04年 |
【1】薪炭問屋 「福島屋」「後の「白雲閣」 創業者の堀江浅蔵が、 福島県から上京し池袋4丁目に薪炭問屋「福島屋」を開業。400名以上の従業員を抱え、大燃料工場を5つ営み、城北地域で五大燃料問屋に成長。 |
1950年 |
昭和25年 |
【2・3】新たに料亭を開業召集され、戦後の闇市とバラックがひしめく池袋に帰還。「飲食こそ我が仕事」と職業観が変わり、 料亭を開業。 16坪以上の建築許可が下りなかった戦後、 料亭として相応しい建物を求め、 長野県の上諏訪より総檜造り240坪の旧豪族御殿を立教大学前に移築。 その御殿より立教大学方面に富士山が白雲を棚引かせる様子が望めたことから 「白雲閣」と命名。 |
1954年 |
昭和29年 |
旧館焼失と新館での営業上諏訪より移設した240坪の旧館が大火により全焼。 当年に完成していた隣地150坪に建てた新館は類焼を免れており、総勢200余名の従業員たちに支えられ、翌日からも一切休業をせずお客様を迎えた。 |
1956年 |
昭和31年 |
【4・5】奇跡の再興から盛業へ旧館消失の痛手を全社一丸で克服した勢いは留まることなく復興へ。 敷地面積を1500坪まで拡大し、大小32部屋を設け城北地域随一の料亭として再スタート。 江戸川乱歩氏や小笠原大蔵大臣らも常客として何度も足を運んだ。池袋界隈はもちろんのこと、浅草や日本橋からも多くのお客様を集め盛業を極める。 |
1957年 |
昭和32年 |
【6】高松宮殿下ご来臨贅を尽くした大宴会場「鷹の間」をオープン。 滝の庭を愛でつつお風呂を浴びてから宴に臨むラグジュアリーなスタイルは反響を呼ぶ。昭和天皇の弟君・高松宮殿下ご来臨の栄に浴す。 |
1960年-79 |
昭和54年 |
【7】高度経済成長に伴いハイクラス層の会合処としての需要が高まる老舗としての実績と信頼は厚く、東京オリンピックの開催を機に、日本文化の風情に割烹業の行き届いたサービスと、至便な立地が文化人、 学者、 諸官庁や大企業の重要な会合処として人気を博す。この当時から地域の方々が多く来館、地元との繋がりを大切にしていた。 |
1980年 |
昭和55年 |
【8】温かいものは温かいうちに新しい食文化の開始先付けの宴会料理から、料亭の強みを活かし、一品一品もてなす 「会席料理」に切り替える。常に新しい食文化を追求し、グルメ志向の高い顧客層に好評を博し、国内の宴会や婚礼業界へも浸透していった。 |
1981年 |
昭和56年 |
【9】「ワインで会席」がスタート日本料理には日本酒を合わせるという概念を超え、一品ずつワインとのマリアージュで楽しむペアリングワインを提案。 その後2015年までロングランのイベントとして継続する。 |
1987年 |
昭和62年 |
初めての洋間「鳳来の間」完成洋風化を先取りし、大広間を日本初のフローリングのバンケットに改装。 バブル景気も後押しし、爆発的な人気となる。 これを皮切りに毎年8月に各フロアをリニューアルしていく。 |
1994年 |
平成06年 |
リビエラ会長・渡邊が経営を引き継ぐ白雲閣の経営を、義息子の現リビエラグループ会長・渡邊曻が引き継ぐ。堀江浅蔵のおもてなしの心と、湯河原吉浜海岸の埋立地事業による観光への先見性は次世代へと受け継がれていく。 |
1995年 |
平成07年 |
【10・11】リビエラを冠に屋号を変更1989年に買収したL.A.にあるリビエラカントリークラブの世界水準のホスピタリティと、料亭「白雲「閣」のおもてなしを融合。 |
1999年 |
平成11年 |
【12・13】タイプの違うチャペルが誕生し人気を博すイギリスの教会で100年以上愛用されていたアンティークのベンチを移設。 「古き良きモノを磨き上げ次の世代へ」というリビエラの理念が随所に根付いている。その後2006年には、太陽の光が降り注ぎ純白の大理石のバージンロードが輝く、ガラス張りの独立型チャペルもオープン。 タイプの違う2つのチャペルが人気を博す。 |
2012年 |
平成24年 |
【14】木造3階建築の顔エントランス改修毎夏の改装時に補強を施してきた木造3階建ては頑丈で、東日本大震災の際でも瓦が少し落ちる程度の被害のみであった。 安全のためと、時代に合わせてエントランスを改修。 |
2013年 |
平成25年 |
【15】「リビエラカフェグリーンスタイル」開業自社菜園の野菜やハーブを用いたガレットが人気で土日は行列もできるほど。 時代を先取りした健康志向のグルテンフリーパンや、アレルギー物質をすべて取り除いたバリアフリーパンなどの提供も話題に。 |
2016年 |
平成28年 |
【16】リオープンで都会の杜が出現3ヶ月間休業し大規模改装を経てリオープン。新たにガーデンゲートを設け、プライベート空間を強調。滝を復活させ、都会の中に緑豊かな森を感じる空間へと生まれ変わる。 |
2017年 |
平成29年 |
「国際アート・カルチャー「都市としま」に貢献 |
2018年 |
平成30年 |
【17】「茶寮リビエラの庭」開業滝の水音、木々のざわめきや鳥のさえずりをBGMに、都会の喧騒を忘れる緑豊かな庭を眺めながら、産地直送の旬な厳選素材から成る 「レトロモダンな和」をコンセプトにした和食のレストラン。 |
2025年 |
令和07年 |
開業75周年開業75周年の節目に、再開発へ。 時代を見据えた変革の一環として、池袋の未来づくりに貢献するまちづくりを目指しています。 |