2020年6月発行

渡邊 曻

株式会社リビエラホールディングス
代表取締役会長兼社長

渡邊 曻

未曾有の災厄に思うこと

この度の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡がりは、まさに未曾有の災厄。全世界では累計約800万人が感染し、45万人近くの方がお亡くなりになっています(6月中旬時点)。罹りかん患された方をはじめ、直接間接に影響を受けられたすべての皆様に、衷心よりお見舞い申し上げる次第です。
私どもリビエラグループでも、4月7日の政府による緊急事態宣言を受けて、営業各施設を閉鎖しました。事務方でもテレワークによる在宅勤務を導入。この間、お客様にはご不便をお掛けしましたこと、深くお詫び申し上げます。中でも、人生最良の日の舞台にリビエラをお選びいただきながら、やむを得ずご期待に添えなかった事例があったことは、私どもとしても悔しい限りです。
おかげさまで、リビエラグループの施設・スタッフ・関係者からは発症事例もなく、5月25日の宣言解除により、〝3密〟の回避に細心の注意を払いながら、徐々に営業を再開しております。
しかしながら、いまだに事態終息の気配は見えません、それどころか、多くの専門家や研究機関が、第2波・第3波の感染再拡大に警鐘を鳴らしています。米国ハーバード大学の研究チームが発表した論文によると「COVID-19の世界的流行を抑えるためには、外出規制などの措置を2022年まで継続的に続ける必要がある」(米国科学誌サイエンス・4月14日付)とのこと。
ウイルスとの共生が不可避となった今、私たちに求められているのは、普段の生活を取り戻す努力と並び、〝コロナ後〟の新しい生活様式を工夫することでしょう。リビエラグループでも、〝Withコロナ〟の世界における創意を取り入れた事業提案をさせていただく所存です。衛生管理に一層留意し、安全・安心で快適な環境を提供するため、最大限の対策に努めていきたく思っています。

歴史的帆船 再び海へ

コロナ禍により、この夏開催予定だった東京2020オリンピック・パラリンピックも延期となってしまいました。同大会セーリング競技が行われるはずだったリビエラ逗子マリーナの沖合も、初夏の陽差しに美しく煌めきながら、今は静かです。神奈川県内の海水浴場は今夏すべて開設されないこととなり、マリンスポーツ関係も自粛ムードの中にありますが、リビエラ逗子マリーナ、リビエラシーボニアマリーナと葉山港は、営業しております。梅雨明けの相模湾は、格別の美しさ。ぜひお運びください。
さて、そのような中でも、ひとつの光明をお伝えできます。
リビエラシーボニアマリーナの特設ドックで2015年2月から取り組んできた、歴史的木造帆船「シナーラ」のレストア(修復)プロジェクトが最終局面にかかり、5月30日、ついに初のテストセーリングを果たしました。
前世紀初頭の英国で建造され船齢90年を超えたこのヴィンテージヨットを、海から上架したのが2017年1月。以来、世界10ヶ国から招聘した50人を超える専門家と、伝承技術の習得に志ある日本の職人たちの国際協力チームが、3年5ヶ月に及ぶレストア作業を続けてきました。
コロナの中でも、衛生管理と作業者の社会的距離の確保に努め、潮風を浴びながら作業を継続。無事に陸上での工程を完了しました。
これからは、海上での試運転と細部調整、操船クルーの習熟訓練。そして、(1年延びたとはいうものの)東京五輪2020セーリング競技のフラッグシップとしてお披露目をいたします。
レストアによって、さらに100年の命が吹き込まれたシナーラは、リビエラグループの〝フラッグシップ〟。五輪セーリング競技会場に最も近い民間マリーナである私どもは、グループの総力あげて同大会を支援し、選手や大会関係者の方々が試合に集中できるよう協力すると共に、この旗艦を縦横に駆って、マリンスポーツの発展に尽くす所存です。

シナーラ

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