2020年3月発行

ジェネシス・インビテーショナル
ジェネシス・インビテーショナル
ジェネシス・インビテーショナル

©Taku Miyamoto

ジェネシス・インビテーショナル

2月のロサンゼルスは、今年も熱かった―。ザ・リビエラカントリークラブ(RCC)を舞台とする米国PGAツアー・トーナメント「ジェネシス・インビテーショナル」が、2020年2月13日〜16日に開催されました。1926年のRCC開設以来、毎年2月、数々のレジェンドを生んできた伝統の一戦。〝招待試合〟に格上げされた今期、私たちリビエラグループにとって、誇らしい熱戦が展開されました。

「ジェネシス・インビテーショナル」は、ゴルフ界最高峰のツアー公式戦のひとつ。大会ホストは、あのタイガー・ウッズ。今回から〝招待試合〟に大会格付が上がって名称変更され、賞金総額も前回を190万ドル上回る930万ドル(約10億円)に。出場できるのは、選りすぐりの招待選手120名のみ。
世界のトッププレイヤーによる激闘を制し、今回167万4000ドルの優勝賞金と3年間のシード権を手にしたのは、4年ぶりのPGAツアー勝利となったアダム・スコット(豪)。日本勢では松山英樹が5位タイと健闘しました。
この栄えある大会のために、RCCでは、全スタッフが一年をかけてベストなコースコンディションを保ちます。またコース管理技術の研鑽を目的に、全米そして日本を含む全世界から集った約40名の外部人材もRCCのコースメンテナンスに参加。今年7月の東京オリンピック・ゴルフ競技の会場となる霞ヶ関CCからも人材を受け入れています。
またうれしいニュースを皆様にも共有させていただきます。米ゴルフ誌恒例の米ツアープロへの匿名アンケートで「一番好きなトーナメントコースは?」の質問で1位だったのが、RCCでした。実に5人に1人のプロが「リビエラがもっとも好きだ」と答えていただき、群を抜いていたようです。また別の米ゴルフ誌の「ツアープロが選んだベストコース」でもオーガスタナショナル、ハーバータウンについで3位にRCCが入り、米ツアープロに高評価をいただき、大変光栄です。 
RCCでは“Load to 2028”を進行中。2028年開催のロサンゼルス五輪では、RCCは男女ゴルフ競技の会場に予定されています。1932年ロス五輪でも、RCCは馬術競技の会場となりました。オリンピックに直接貢献できる2度目の機会に、リビエラはグループの総力をあげて取り組んでまいります。

リビエラカントリークラブ

様々な大会関係者との間に確かなパートナーシップを築けていることも、リビエラが喜びとするところ。そうしたパートナーのひとり、RCCオフィシャル・フォトグラファーの宮本卓さんが、PGAツアーとRCCに寄せる思いを綴ってくれました。
以下は宮本さんの寄稿です

RCCとの出会い
世界を巡る旅の始まり

私が初めてRCCを訪れたのは中嶋常幸プロとアメリカPGAツアー挑戦の旅に同行した88年のこと。前年暮、中嶋プロがPGAツアー挑戦を発表した時、私は意を決し一緒に旅をしたいと願い出た。
私もその年マスターズをはじめ、いくつかのアメリカの試合を撮影したことで、いつかはアメリカ各地を旅することを夢見ていた。
気難しいと聞いていた中嶋プロだったが、思いの外あっさりと「面白い、一緒に行こう」と快諾してくださった。そして88年、初戦となったのが、RCCでの「ニッサンオープン」だった。
ロサンゼルス空港から中嶋プロと同乗した車でゲートに差し掛かり、中嶋プロがPGAツアーバッジを見せると屈強なセキュリティがウエルカムと迎えてくれた。我々カメラマンは普段正門から入ることは殆どない。どこか別のところに設けられたメディア専用ゲートからの入場が当たり前で、あのゲートの開いた瞬間、心沸き立つ特別な気持ちを味わった。これが世界の名門と言われるコースの雰囲気なのか。とてつもない世界に踏み入ったような気分に襲われた。高台に建つクラブハウスからコース全体を見渡す。サンタモニカの海岸から吹付ける風は、ほんの少し冷たいが、カリフォルニアの青い空の下、幸せな気分に包まれた。
この最初に感じた空気感が、その後四半世紀にわたり世界中を旅してきても、「RCCこそが一番だ」という気持ちには変わりない。あの一瞬が忘れられずロサンゼルスに住んだこともあった、そして渡邊会長に声をかけてもらい、今、RCCのオフィシャル・フォトグラファーになろうとは夢にも思わなかった。

18ホールすべてが
メモラブルな構成

ここRCCは、フィラデルフィア出身のジョージ・トーマスが1926年に設計。
トーマスのコース設計の特徴は名物ホールを作る才だった。例えばRCCの4番ホールは200ヤードを超えるパー3だが、ショートヒッターでも1オン可能なルートが右サイドに設けられている。6番のグリーンセンターにバンカーを設けるアイデアや8番ホールの左右に分かれたフェアウェー、ニクラスが世界のベストショートパー4と絶賛した10番ホールなど18ホールどれもがメモラブルな構成になっている。
RCCはユーカリの木でセパレートされているが、幾つかのホールにはRCCの歴史が詰まったシカモアのシンボル・ツリーがある。12番ホールグリーン脇では昔ハンフリー・ボガードが木の下でバーボンを飲んでいた。このことからこのシカモアの木は「ボギーの木」としてメンバーに愛された。
この素晴らしいジョージ・トーマスの設計が、時代と共に変えられてきたが、渡邊さんがRCCを手掛けるようになり、オリジナルに戻す努力を重ねられている。設計当初とは自然環境が変わり木も大きく育ち、グリーンへこだわりを徹底し、最新を取り入れながら伝統を守るRCCは、93年の歴史の中で一番素晴らしいコースになっている。
近年PGAツアーの開催コースがTPCスタイルのトーナメントコースが殆どとなってしまい、RCCのようなクラシックコースは僅かだ。クラシックコースでのプレーの経験が少ない若い選手にとって、ここでのプレーは普段求められる以上の技術が要求される。
また、RCCは特徴のあるパー3、左右に振り分けられたドッグレッグのパー4、そしてバーディーが欲しくなるパー5はなぜかストレートなホールとなっている。このストレートなパー5が曲者で、意外とティーショットに苦しむ選手が多いのも不思議だ。
またコース全体がすり鉢状になっているため、ボールの最高点に達した上空での風の読みがとても難しい。

格別な存在タイガー・ウッズ

今年からタイガー・ウッズの招待試合となった「ジェネシス・インビテーショナル」。92 年、弱冠16歳でPGAツアーに挑戦した最初の大会が、このRCCだった。その思い出のコースを自身の招待試合に選んだタイガー。出場選手のほとんどが「タイガー世代」と言われる人たちで、小さい頃テレビでタイガーを観て憧れ、ゴルフを始めた。彼らのタイガーを見る目は熱い。
私も幸運にもデビューのタイガーに立ち会えた。その後96年に全米アマ3連覇しプロ転向。そこからの翌年マスターズ初優勝までの期間は、まさにスーパースターに上り詰める瞬間だった。スポーツフォトグラファーにとって、このような選手と出会えたことは冥利に尽きる。タイガーのメジャー15勝は全てカメラに収めた。
タイガー招待となった今年を、特別な思いで迎えた。

他のコースでは味わえない感覚

夜明け前、東の空が瑠璃色から東雲色に変わる時、ロサンゼルスの乾いた空は言葉で表せないような見事なグラデーションをみせる。
遠くに見えるパームツリーのシルエットからイーグルスの曲が聞こえてきそうだ。
そして太陽が顔を見せると、コースには影の絨毯が敷きつめられる。シカモアの木が一段と白く輝いた。
サンタモニカから吹く風は寒流の海を撫ぜてくるせいか、キリッと締まっている。練習場から聞こえてくるボールの音がコースに木霊する。
言葉に表せられない幸福感が身体を包む。
30年に渡って世界のゴルフコースを旅してきたが、この感覚はどのコースでも味わえるわけではない。そんな時、空を愉しめる天職をありがたいと思っている。

リビエラカントリークラブ
リビエラカントリークラブ
リビエラカントリークラブ
リビエラカントリークラブ

1. 上空から見たRCC 
2. グリーンセンターにバンカーが設けられている6th hole 
3. ジャック・ニクラスが称賛した10th hole 
4. 夜明け前の姿

協働と共感

〜タイガー・ウッズとの語らい〜

タイガー・ウッズ

このたびの「ジェネシス・インビテーショナル」の開催中、RCCのゲストハウスで大会ホストを務めるタイガー・ウッズ氏と、リビエラグループ代表・渡邊曻が交友を深めました。
出会いは、RCCでの鮮烈なデビューを果たしたタイガー・ウッズ16歳の時。ゴルフをこよなく愛する者同士の友人として、いつかはリビエラで一勝をと応援し続けているファンとしていつも語り合ってきました。
米ツアー82勝を挙げた快挙と今期〝招待試合〟に格上げしたことを、共に喜ぶことから始まった会談ですが、いつしか話題の中心は、共通の関心事である〝社会貢献活動〟に。
PGAツアーが米国にもたらす経済効果は大きく、慈善活動も活発です。ウッズ氏が主宰するTGR財団の教育支援基金は、ロサンゼルスにおいて年間200万ドルにも達しています。活動に対する彼の思いは、様々なコンディションの時がありながらも、長年ゴルフ界で活躍し続けるタイガーの人柄がにじみ出ており、改めて惚れ直しました。
一方、「リビエラ未来創りプロジェクト」を進めるリビエラグループは、RCCでも取り組みに力を注いでいます。基金としてのドネーションは1988年に事業継承した当時から継続していますが、サンタモニカにきれいな水を流す「小川プロジェクト」や、エコロジカルな木製設備に入れ替える「木のプロジェクト」などを進めています。
ウッズ氏と渡邊の会談でも、それぞれ一層の取り組みを再確認。タイガーとリビエラの協働と共感は、社会貢献の分野でも、さらに深まっていきます。

「ジェネシス・インビテーショナル」

タイガー・ウッズ氏の公式コメント(抄訳)

この特別な年に、私はリビエラに帰ってきました―。「ジェネシス・インビテーショナル」に選手として出場し、また大会ホストとして皆様をお迎えできることは、とてもエキサイティングな体験です。この大会は今年から、招待試合に格付が上がり、ジャック・ニクラスやアーノルド・パーマーが主催する試合と肩を並べることになりました。
父に伴われて初めてトーナメントを戦った16歳のときから、RCCは私にとって格別な場所。1992年のPGAツアー初参戦もここでした。むろん、そのころは、まさか自分がジャックやアーノルドと同じ招待試合を主催できるなどとは思っていなかったわけですが、これまでのことを振り返ってみれば、これはまさに夢の実現です。
大会スポンサー、米国プロゴルフ協会、そしてすべてのゴルフファンに感謝します。この大会の格付向上は皆様のおかげです。しかし、格付向上以上に重要なのは、皆様のご協力によって、私が主宰するTGR財団による基金が、何万人もの学生たちに教育の機会を提供できたことです。
TGR財団による基金は、地元ロサンゼルスから全米へと足跡を拡大し、さらには世界へと展開しています。ジェネシス・インビテーショナルの収益もまた、教育を通じて若者たちが情熱を追求する原資となります。私は、すべての若者たちは、普遍的に教育の機会を与えられ、無限の可能性がある世界に生きるべきだと確信しています。教育こそ夢の源泉。基金が提供する支援は、若者たちにとってきっかけにすぎませんが、あなたの関与が多くの若者を繁栄に導くことは確かです。
私は、ジェネシス・インビテーショナルが刻んできた歴史を誇るとともに、この大会がこれからも毎年、成長していくことを期待しています。そして、この大会が皆様にとっても思い出深く、国を越えた多くの学生たちの一助となりますことを。

THE GENESIS INVITATIONALのWeb siteより引用して抄訳
https://genesisinvitational.com/


X ポスト facebookシェア LINEで送る