「シナーラ」はリビエラグループのフラッグシップのひとつであり、日本が世界から譲り受けた宝ともいうべき存在です。
この宝船を、完全な姿で東京オリンピック2020のセーリング競技が行われる相模湾に浮かべたい。
その思いで艇齢90年に達した2017年1月、レストア(本格修復)のプロジェクトがスタートしました。

本場ヨーロッパから
招聘された船大工たち

日本は「船大工」という世界一流の造船技術を持つ国とされますが、前世紀初頭のヨーロッパ様式を持つ木造帆船の完全レストアとなると、話はまったく違ってきます。当初は、高度技術が維持される海外でのレストア実施も検討しました。ですが、日本へのレストア技術伝承のためには、何としても母港シーボニアでの作業実施としたいところ。そこで、レストア専門の高度技術者を海外から招聘しました。

今、シーボニアの特設ドックでは、世界10か国から集まった優秀な船大工たちが働いています。

イギリスからやってきた船大工 ポール・ハービーの言葉

「シナーラは、これまで手がけてきた船の中でも特に格式が高い。その復元修復に従事できることは誇りだ」。
「私たちヨーロッパ出身の職人が、遠く日本までやってきて、日本の技術者たちと手を携えて船のレストアを行うのは稀なことです。リビエラの熱い夢を受け、私たちは強い熱意を持って、やりがいに満ちながら、この仕事をリビエラスタッフと共に続けています。シナーラが建造されたイギリスと日本では、様々な面で違いがあります。それもまた課題のひとつですが、我々はこの船をつくった当時の職人たちが、困難な条件下で努力を重ねていたことを忘れてはなりません」。

「シナーラは再び、世界の大海原を優雅に渡ります。そのとき、かつてキャンパー&ニコルソンの職人たちが感じたであろう誇りと喜びを、この日本でリビエラと共有できることを楽しみにしています」。

古い船の修復に宿る
さまざまなドラマ

港に浮かんでいたシナーラを、陸揚げしてドックに入れるだけでも思わぬ苦労がありました。わずか50メートルほどの距離を古民家移設のテクニックを応用した技術で、数センチずつ、何週間もかけて、じわじわと動かさなければならなかったのです。部品の一つ一つ、木の板一枚一枚を丹念に取り外し、磨きをかけた上で番号をつけて、梱包します。この手間のかかる作業の結果、資材の約7割が、レストア後にも使えることが判明しました。90年前の匠の技術は、現代のテクノロジーに勝るものがあります。

風を受けて
セーリングできてこそ

可動船としての役目を終え、港に係留されて歴史資料や観光資源として余生を送る船があります。クラシックな船は、波止場に立って壮麗な姿を眺めるだけでも魅力的。しかしながら、帆船は風を受けてセーリングできてこそ、その価値も高まります。また、人を乗せて沖に出れば、乗る方も多くのことを体得することができます。だからこそ、日本で唯一現存する歴史あるビンテージ•ヨット「シナーラ」を生きたままで保存し、後世に残していくことが私たちの使命と考えております。

90年前に誕生した帆船に、さらに100年の命を吹き込む。「シナーラ」修復プロジェクトは、ますますピッチを上げていきます。

こうした作業はすべて正確に記録し、後世に残していきます。然るべき時期が来たら多くの方にご覧いただけるよう、メディアとも連携しています。
プロジェクトの記録は、環境教育や海洋教育の教材としても、優れた価値を持つことでしょう。